小惑星(6052) Junichi

※註:以下は1996年の文章です。

  国際天文学連合小惑星センター(アメリカ・スミソニアン天文台)は、1996年4月4日発行の小惑星回報第26831号誌上で、小惑星6052番に「Junichi」と命名したことを発表しました。この名前は、現在文部省国立天文台広報普及室長で、彗星や小惑星の研究者:渡部 潤一(わたなべ じゅんいち)の業績を記念して、発見者である北海道のアマチュア天文家:円館 金 氏・渡辺 和郎 氏によって提案されたものです。すでに他の小惑星に「Watanabe」が命名されていたため、重複を避けるために名前である「Junichi」が命名されました。

  渡部は福島県会津若松市出身の35歳。新進気鋭の若手天文学者として有名であるばかりでなく、先月出現して話題になった百武彗星の観測の中心として活躍したほか、3月12日付の朝日新聞の論壇に掲載された論文が14日の閣議後の閣僚懇談会で配布されるなど、日本天文学会きっての論客としても知られています。

  福島県に関係する小惑星名としては、世界的に有名な天体写真家・藤井旭氏を記念して命名された小惑星3872番「Akirafujii」、宇宙飛行士の秋山豊寛氏を記念して命名された小惑星4714番「Toyohiro」についで3番目となります。

  また、日本人の天文学者としては、かつての東京大学東京天文台長である広瀬秀雄を記念した小惑星1612番「Hirose」や、前国立天文台長である古在由秀を記念した小惑星3040番「Kozai」など10個あまりがあります。


(参考資料:1)  小惑星概説

  主に火星と木星の軌道の間をまわっている小さな天体。惑星に成りきれなかった微惑星のかけらといわれ、大きなものでも1000km、小さなものでは数kmの岩石の塊である。現在7000個ほどが登録され、観測技術の進歩により、その数はさらに増えつつある。国際天文学連合では、小惑星の発見や軌道決定に功績のあった観測者に一定の基準により、その小惑星に対する「命名権」を与えている。命名権を取得した観測者は、一定に基準内で国際天文学連合に提案を行い、命名委員会の承認後、公表されることになっている。日本のアマチュアの小惑星発見数は非常に多く、700個に上っている。


(参考資料:2)  小惑星第6052番「Junichi」のデータ

    発見日:1992年2月9日
    発見者:円館金(北見市)、渡辺和郎(札幌市)
     周期:約5年10ヶ月
  軌道長半径: 3.247862天文単位(1天文単位は1億5千万km)
  軌道離心率: 0.0383570
  近日点引数:280.58466度
  昇交点黄経:170.02067度
  軌道傾斜角: 21.73491度
   絶対等級: 11.0等

 火星と木星の間を周期5年10ヶ月で一周する小惑星。条件の良いときでも明
るさは肉眼で見える星の明るさの1万分の1程度。

(参考資料:3)  国際天文学連合から発表された命名文章全文

 (6052) Junichi = 1992 CE1
Discovered 1992 Feb. 9 by K. Endate and K. Watanabe at Kitami.
1 M. P. C. 26 931 1996 APR. 4

Named in honor of Junichi Watanabe (b. 1960), division chief
of the Public Information Office of the National Astronomical Observatory
and, from 1994, president of the Japanese comet conference. Actively
involved in research on minor planets, comets and meteors, he has organized
an effective observational team and has contributed to the development of
the planetary sciences infrastructure in Japan. He also plays an
important role in the popularization of astronomy and planetary sciences.